アレルギー性鼻炎(花粉症)
花粉症は、鼻腔内に入ってきたスギやヒノキ、ブタクサなどの植物の花粉に対する免疫反応によって鼻水、鼻閉などの症状が引き起こされる病気です。
原因となる花粉が飛散する季節にだけ症状が現れるので、「季節性アレルギー性鼻炎」とも呼ばれます。
それに対して、ハウスダストやダニなどによって引き起こされる鼻炎は季節を問わないので、「通年性アレルギー性鼻炎」と呼ばれます。
アレルギー性鼻炎の治療にはくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状を薬でおさえる「薬物療法」と「アレルゲン免疫療法」があります。
「アレルゲン免疫療法」とは、原因となるアレルゲンを少しずつ投与して、徐々に体に慣れさせていく方法です。薬物療法は症状を抑えるだけの治療でしたが、アレルゲン免疫療法は根治が期待できる治療です。
アレルゲン免疫療法については以前から皮下注射によるものが行われていましたが、2014年からは、自宅で手軽に行える「舌下免疫療法」が可能になりました。(スギ花粉とダニによるアレルギー性鼻炎に対してのみ)
舌下免疫療法は皮下注射に比べて痛い注射が必要なく、かつ重篤な副作用の頻度が少ないといった特徴があり、根本的な治療を希望される方、アレルギーの薬を減らしたい方にお勧めします。
【舌下免疫療法】
およそ20%弱の方が治癒し、薬を減らせたり症状が軽くなった方を含めると80%の方に効果があると報告されています。
※舌下免疫療法は、指定認可を受けた医師のみが実施できる治療方法です。
当院院長はこの認可を受けております。
<対象となる方>
・スギ花粉またはダニアレルギーが原因となるアレルギー性鼻炎の方
・一般的な投薬治療で十分な効果が得られない方や副作用で継続治療が困難な方
・鼻炎の薬を減らしたい方
などが対象となります。
《受けられない方》
・対象のアレルギー(スギ、ダニ)ではない方
・重い気管支喘息の方
・悪性腫瘍(がん)や免疫系の病気がある方
・65歳以上の方
・妊娠中の方、授乳中の方
・抜歯後や口の中の術後、または口の中に傷や炎症などがある方
・重症の心疾患、肺疾患及び高血圧症がある方
・特定のお薬を服用中の方(β遮断薬、三環系抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬など)
・内服薬などでステロイド薬の投与を受けている方、免疫抑制剤や抗癌剤の投与を受けている方
・対象以外のアレルゲンに対しても反応性が高い方
<方法>
- 安全に治療を行なうために、スギ花粉の飛散する前後に舌下免疫療法を開始できません。
当院では6~11月頃までに開始します。
(ダニアレルギーに関してはいつでも開始することができます)
・血液検査でスギ花粉、ダニに対するアレルギーがあることを確定します。
・1日1回、治療薬を舌の下に置き、お薬ごとに定められた時間保持したあと、飲み込みます。
その後5分間はうがい・飲食を控えます。
服用前後2時間は、激しい運動、入浴、アルコール摂取はしないでください
初めての服用は当院で行い、舌下後30分は院内で様子を見ます。
2日目からは自宅で服用できます。
薬の量は、初めは少量から開始し、徐々に増量します
定期的な通院が必要になります。
治療開始後の数回は2週間に1回来院していただき、副作用の確認をします。
その後は月に1回の通院が必要です。
治療は最低2年、3~5年以上治療を継続すること推奨します。
短期間で治療を終了しますと、一旦は症状の改善がみられても、効果が持続しないと考えられています。
<副反応>
口内炎
舌の下の腫れ
口の中の腫れ、かゆみ、不快感
唇の腫れ
咽喉(のど)のかゆみ、刺激感、不快感
耳のかゆみ
頭痛
口の中の症状が多いですが、稀に全身性の副作用として、アナフィラキシーやショックを起こす可能性があります。
詳しくは【アレルゲン免疫療法ナビ】もご覧ください